どうぶつ村は人と動物が共生するためのルール作りの基盤を作り上げていきたいと考え、福岡市東区を拠点に
地域ボランティア活動やドッグランの整備を進めております。

理事長エッセイ 敗血症からの甦り 第2章「大学病院」

検査

痛いところは腰なのだが、血液検査の結果から「敗血症」で、多臓器不全を起こしていることを宣告される。
一刻を争う危険性の高いところから手を打っていきますとの説明を受け、痛みのひどい背中のレントゲンを整形外科で撮ると腰椎(ようつい)のやや上に、菌による病巣が出来ていた。
次に心臓のエコーを撮る。
『楢崎さん、モニター見えますか?通常であれば規則正しいリズムで開閉を行っている心房弁が、貴方の場合おかしな動きをしています。』
『釣りで、針に魚がかかった時の“浮き”みたいな変則的な動きをしてるでしょう』
『これが怖いんですよ、明日カメラを飲んでもらって、再度検査しますが、このブドウ球菌は心臓と頭が好きで、心臓に入っていた場合は一刻を争うので即手術に入ります。宜しいですか?』
宜かろうも悪かろうも、命の係ったこと「ハイ」としか言いようが無い。
手術であれば人工弁を入れることで、心臓を助けようというわけである。
翌日カメラによる検査中『楢崎さん、貴方、心電図撮られたことあります?』
『心臓に異常があると言われたこと無いですか?』
あります。
『ハハーン、心房細動(しんぼうさいどう)ですな。しかし良かった。手術に至らず。』
「ンハー・・・」と思わず肩から力が抜けるのが自分でもわかった。
しかしこの心房細動が眠れぬ夜の原因を作るとはこの時点では全くわからなかった。

検査から検査へ

次から次へと検査室を移動するキャスターから見る廊下の天井は、昔、テレビドラマで見たベン・ケーシーの世界である。
(昭和30年末のモノクロテレビ時代のアメリカの医療ドラマ。)
ベン・ケーシーという主人公医師の活躍を物語にしたドラマで、昨今の番組では「緊急救命室」に似たドラマであるが、イントロのBGMの場面では、運ばれる患者の目線をキャスター(台車)で移動し、病院廊下の天井が流れていくのが当時印象的であった。
廊下の天井ばかりに見飽きて、ふと横向いた目に飛び込んできたのは自分の名前が書いてあるカルテだったが、飛び込んできた文字は「血液腫瘍(しゅよう)」だった。
「エー白血病」それで足が()れたり、皮下出血起こし腰が痛いのか、こりゃ俺も“THE―END”か。
敗血症なのか白血病なのか完全に混乱している。
病院出るのは棺桶(かんおけ)になるかもしれないな。弱気の虫が頭をもたげる。
そのような中でも相変わらず背中の痛みは激しい。

MRI検査

検査技師(いわ)く『30分ほどの時間を要しますが、背中が痛そうなので、半分の時間で短縮してみますが、どの角度が痛みは緩和(かんわ)できますか?』
どちらかをもたげて斜めにすれば少しは我慢(がまん)できると思いますが、
『それではシーツを身体半分に敷いてやってみましょう。途中我慢できなければこの押しボタンを押してください』
スミマセン、汗が止まらないのですが。
岩盤浴(がんばんよく)と同じで寝台が熱を出しますので。多少汗は出ますよ。』
い、痛い、もう限度だとボタンを思い切り押した。
『もう少し、後2〜3分で終わりますからね』
ウ〜。我慢できなければボタンを押せといったのは誰だ?

次章、心臓が!?
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