どうぶつ村は人と動物が共生するためのルール作りの基盤を作り上げていきたいと考え、福岡市東区を拠点に
地域ボランティア活動やドッグランの整備を進めております。

どうぶつ村コラムVOL.20 地震
 地震、雷、火事、親父といえば、恐いものの代名詞。最近「親父」は、粗大ゴミやら狩られたり(!)やらでその権威は失墜の様相ですが、前の三つは以前変わるはずもありません。
 特に、地震といえば新潟県中越地震、スマトラ沖地震に続き、地震の空白地帯といわれていたここ福岡でも、3月20日に震度6弱を記録した「福岡西方沖地震」に見舞われました。 当院のある福岡市東区でも相当の揺れを記録し、3週間経つ現在でも震度2〜3を記録する余震が続いています。

 地震のあった週は、直接本震に関係した外傷の患者さんが多数来院されました。最も多かったのは、パニックになった猫がその場から逃げ出そうと必死で壁をよじ登ったり、扉の周囲を引っ掻いたりすることで爪が剥がれる事故でした。なかには合計で11本もの爪を剥がした猫もいました。ただこの場合は、そんなに心配することもなく新しい爪が次第に生えてきます。
 その後は、精神的なストレスによる食欲不振や分離不安症などに悩まされるケースが出てきました。動物は、われわれ人間が感じることのできない微細な余震でも敏感にキャッチしてしまうため、もともと繊細な性格であったり本震で恐怖体験をした場合は人間同様にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症すると考えられます。

 ほとんどの場合は、スキンシップを多く取ったり、なるべく人の気配を消さないように注意したりすることで次第に解消できます。この際のポイントは、人間自身がこころを込めて安心していていいんだよとメッセージを送ることです。「大丈夫、大丈夫」とやさしく言葉かけをしながら、身体を丁寧に撫でてやってください。食欲不振、体重減少が止まらないなどの症状が続いているようなときは、動物病院で精神安定剤などを処方してもらうことも必要かもしれません。最寄りの病院で早めにご相談ください。

 また、社団法人「福岡県動物福祉協会」では、今回の地震にあった動物の世話の仕方や、被災でやむを得ずペットを手放さなければならない場合の新しい飼い主捜しのアドバイスなどの電話相談窓口を開設しています。(平日午前10時〜午後4時 TEL092-713-0101) 「地震」というものを現象としてはわかっていても頭で理解できない動物たちに、今度は人間が癒しを提供する出番ですよ。
 
 
ページ移動ボタン
コラム&エッセイ一覧ページにもどる
ページ移動ボタン